今夜は小倉貴久子さんのコンサート
チェンバロで合唱団の伴奏をしていたこともあるので、古楽器の音はなつかしい響きですがなんと3台のフォルテピアノによる贅沢なコンサートです。
モダンピアノの音になれた耳には「え?」という違和感があるかもしれないけれど、なんとも奥ゆかしい繊細な音色で奏でるロマン派もなかなか魅力的です。
古楽器はスタインウェイのような高音の伸びや音量はないので、「耳に聞こえてくる音を聞く」、というよりはこちらから
「聴きに行く」という謙虚な姿勢が必要です。
弾き終わった後の小倉さんの笑顔からは「弾かせていただきました」という楽器に対する敬意が感じられ胸を打つものがあります。
Beethovenはダンパーのことを、弱音を表すsordinoと表現していたこと。
だから「月光」の一楽章のsenza sordino(弱音ペダルを使わないで)は、実は真逆の「ダンパーペダルをずっと踏んで!」という意味だった、なんてすごい初耳学です!
なるほど!テンペストの一楽章の数小節ペダル踏みっぱなしの所も、この時代のフォルテピアノならさほど濁ることなくいい感じのリバーブに聞こえたはずです。
口では表現できないくらい沢山の感動がありました。
古楽器で演奏する、ショパンのソナタ二番。想像できます?
小倉さんのピアノは実にいい!
一度聴いたら、きっとこれからピアノに向かうときの気持ちが変わるはずです。
みんなに聴いてほしい!そんなピアニストのお一人です。
「高音が出ない。連打がきかない」なんて未熟さを棚に上げてピアノのせいにする自分をちょっと反省。
「楽器に寄り添うように弾く気持ち」大切にしたいです。