今日は
ツィメルマンのリサイタル
埼玉に来てやっと3年、リリアでのコンサートは初めて。
ツィメルマンは3回目だけど、最後に聞いたのはサントリーホールでのシューベルトの即興曲全曲
あまりの音色の美しさにしばらく席を立つことができなかった・・・・。
愛妻家らしく、演奏旅行にはいつも奥様が同行。鍵盤の上で結婚指輪がキラリ

今日の演目はDebussyの映像と前奏曲第一巻から数曲
後半はシマノフスキーの前奏曲
Chopinのソナタ第3番
リハーサルが延びているとのことで、入れない人でロビーは一杯
リサイタルの曲には10年かけるらしいのに、リハにもこのこだわり様
期待はますます高まります!
「そうだ、咳止め飲んでこなかった!」
一旦ホールを出て駅でフリスクを買って、大急ぎでホールに戻る
「残り五部しかありませーん!」という声にあわててプログラムを買い、駆け込みで自分の席へ
あれっ??? 私の席に
知らない女性が座っている・・・・
恐る恐る「あのー、」とチケットを見せるとその女性は「あ−、」と言って2列前の席に移動
(あのさー、普通そういう場合って「失礼しました。間違えました」くらい言うんちゃう!!)
開演前にツィメルマンから私たちに
メッセージが
「先日私の演奏会を一部の聴衆が最新の機器で録画し、それをYouTubeにアップしました。
それを知ったレコード会社は私との契約をキャンセルしてきました。私と録画した本人とレコード会社の間で訴訟問題に発展し、社会問題となりました。演奏家は最高の時間を聴衆と分かち合いたいと思ってステージに立っています。どうか、私の気持ちをわかってください。」というような意味合いの事でした。
アナログからどんどんデジタルになっていく今の世の中。
いろんな事を考えさせられるおもーいメッセージでした。
さー、いよいよ演奏が始まります。
ツメルマンの円熟さが伝わるような繊細な演奏。
年はとっても素敵な風貌は変わりません(個人的にはピアニストの中で一番のイケメンだと思っている)
息をのみこむのも気がひけるような静寂の中でDebussyの音が重なり合い、そして一つ一つ消えていく。
このホールの中は異次元空間
ピアノの音がまるで
オーロラのように空間をゆっくりと動いていきます。
絶妙なぺダリング
フレーズの最後の音が消えていく瞬間まで、責任を持って聞いているのが伝わります。
時折空いている左手で、テルミンを演奏するかのような仕草
みんな微動だにしません。
ただ一人を除いては・・・・・・・。
誰だ


うっ!先ほど私の席に座っていて前の席に移動したおばさん!
トランス状態で体を前後左右に揺らすわ揺らすわ
ツィメルマンに併せて一緒にピアノを弾くふり(リズムもテンポも音域も全く、あっていない!)
演奏が終わるとオペラグラスでツィメルマンの姿を追う所を見ると、熱狂的ファンなのでしょう。
後ろの席の方が耐えかねて2度ほど肩を「トントン」とたたいて注意しますが、全くお構いなし
お気の毒にその方は、せっかくのいい席を離れてほかの席に移動されました。
休憩時間に「周りのみんな迷惑してるから係りの方に言って来よう!」ということで私も事情を話しに同行。
係員がチケットの提示を求めると、やはり異常行動の女性の席は、別の場所でした。
「手元が見えない席だったから」・・・・・ 気持ちはわかるけど・・・
間際で取ったチケットにしては鍵盤もばっちり見える最高の席なのに、とんだハプニングだったけど後半はほんとにゆっくり演奏に集中できてよかった!!
美しいChopinでした。
10分ほどかかる1楽章
感動しても、拍手しないでよ〜。4楽章まであるんだよ〜・・・・
「あー、やっぱり・・・」
そんな拍手にもツィメルマンはニッコリ
2楽章が終わってさすがに拍手がないと、今度は「あれ?拍手しないの?」と言わんばかりの笑顔をみんなに向けて場内から笑いと拍手が
し〜んとした場内に響き渡る咳に「ん、もー!いいところなのに。咳止め飲んできてよ」とイラっとする私は凡人
ツィメルマンは、ご自分も曲間に咳をして横を向いてまたニッコリ
ステージ上でこの余裕、このやさしさ。ピアノの音にそのまま現れています。
これまで、ソナタ3番の2.3楽章は終楽章を早く聴きたいという気持ちから、あまり感動したことがなかったけど、こんな美しいChopinのソナタを聴いたことがありません。
最強音でさえ、
腹八分の音量。
なのに、お腹が一杯になるような感動です
一度限りのコンサートに、高いお金を払う価値はここにあります。
YouTubeでは、絶対にこの感動は得られない
というわけで、大人の皆さ〜ん!
12.22のクリコン、頑張りましょうね!
生演奏の素晴らしさを来てくださるお客様にしっかりお伝えしましょう