2014年09月30日

フォルテピアノで弾くシューマン

久々の東京オペラシティー
そこは日々の喧騒を忘れて、感性の世界にどっぷり浸れる空間です。

今日は、楽しみにしていた小倉貴久子さんのフォルテピアノの演奏会
ロベルト・シューマンと妻クララ・シューマンの作品。
会場の近江楽堂はキャパが小さめで正面にマリア像があり、天井はどこまでも高く
それは素晴らしい響きのサロンです。


敬愛するシューマン夫妻の曲を聴けるこの日を、楽しみに楽しみに待っていました!


フォルテピアノは現代のピアノよりずっと残響が少なく、連打も得意ではない楽器

「クライスレリアーナ」や「ファンタジー」をどうやって弾くのかしら?


大ホールのスタインウェイに慣れきった耳には、想像もできないことでした。

声部ごとの響きが違い、音の余韻もボリュームも
モダンピアノのそれとは全く違います。

「聞こえてくる音を聴く」のではなく「謙虚に聴きに行く」
これがフォルテピアノを楽しむ聞き方だ、と思いました。


こんなにも丁寧に弾く「クライスレリアーナ」
聴いた事がありません。
この楽器だからこそ表現できる、声部ごとの音色の違い
改めて、これはこういう曲だったんだ!と実感しました。

演目の最後は一番楽しみにしていた「ファンタジー」
耳は完全に、フォルテピアノの下僕です。
そう「楽器にひれ伏す」という感覚、スタインウェイでは感じなかったことです。
素晴らしい演奏に、みんなが心打たれているのが伝わってきます。

「弾かせていただく」という謙虚な気持ち
小倉さんの演奏から、それを強く感じました。
どんな作品を弾く時でも、持ち続けるのって大切ですね。

2017年11月22日

「満足度300%のコンサート」

今夜は小倉貴久子さんのコンサート


チェンバロで合唱団の伴奏をしていたこともあるので、古楽器の音はなつかしい響きですがなんと3台のフォルテピアノによる贅沢なコンサートです。

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モダンピアノの音になれた耳には「え?」という違和感があるかもしれないけれど、なんとも奥ゆかしい繊細な音色で奏でるロマン派もなかなか魅力的です。

古楽器はスタインウェイのような高音の伸びや音量はないので、「耳に聞こえてくる音を聞く」、というよりはこちらから

「聴きに行く」という謙虚な姿勢が必要です。


弾き終わった後の小倉さんの笑顔からは「弾かせていただきました」という楽器に対する敬意が感じられ胸を打つものがあります。

Beethoven
はダンパーのことを、弱音を表すsordinoと表現していたこと。

だから「月光」の一楽章のsenza sordino(弱音ペダルを使わないで)は、実は真逆の「ダンパーペダルをずっと踏んで!」という意味だった、なんてすごい初耳学です!

なるほど!テンペストの一楽章の数小節ペダル踏みっぱなしの所も、この時代のフォルテピアノならさほど濁ることなくいい感じのリバーブに聞こえたはずです。

口では表現できないくらい沢山の感動がありました。

古楽器で演奏する、ショパンのソナタ二番。想像できます?


小倉さんのピアノは実にいい!

一度聴いたら、きっとこれからピアノに向かうときの気持ちが変わるはずです。

みんなに聴いてほしい!そんなピアニストのお一人です。
「高音が出ない。連打がきかない」なんて未熟さを棚に上げてピアノのせいにする自分をちょっと反省。


「楽器に寄り添うように弾く気持ち」大切にしたいです。


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